ゆらめく資産の記録

5月が始まってAMD株が24%下落したので買い増した

まずはAMDの株価推移を見てみましょう。

$13.5程度だった株価が5月2日に急落し、その後$10前半まで落ちています。どうもQ1の業績が期待に届かなかったとかで売られたらしいです。$11くらいにまでは下がるかもしれないと前に書きましたが、この下がり方はどうにも解せないのでしばらく理由というか背景を考えていました。

まず僕のAMDに対する認識ですが、そもそも昨年末くらいからAMDを買い進めていた人は僕に限らずだいたいこんな感じのストーリーを思い描いていたはずです。

  • 2017年の最初にRyzen 7を出し、コンシューマ向けハイエンド市場でIntelから"マインドシェア"および売上シェアを奪還する
  • Q2でRyzen 5を出し、ミドルエンド市場でも同様に存在感を示す
  • APUのRyzen 3やサーバ向けNaplesで同様に存在感を示す(あとVEGAもある)
  • 2017年末にすべての戦略的製品が発売され、来年からはIntelの有力な競合としてAMDが復権する

ここで重要なのは最初のマインドシェアです。モバイルだとQualcommやARMに負けてるとはいえ、PCおよびサーバ向けCPUがIntel一強となってしまっている市場に競争力のあるRyzenを投入することで、消費者としては選択肢が発生します。ただ安いわけでもただ速いわけでもなく、安くて速い、Intel CPUを凌駕する製品の登場で保守的な層以外はAMDのRyzen 7一択になります。次の四半期でミドルエンド、その次にローエンドとサーバ向けをそれぞれ同じように侵略していく手筈です。そして重要だった初手のRyzen 7の登場は成功裏に終わったように見えます。売上が多少コンセンサスを下回ったところで、2017年のAMD起死回生計画におけるRyzen 7の戦略的な意図はほぼ成功しているので大勢に影響はないでしょう。だいたい下回ったといっても$984Mに対して実績が$983Mなので誤差の範囲でしょう。

という考えだったのですが、実際には冒頭のグラフのように急落しました。率にしておよそ-24%です。いったい何を悲観して投げ売りのような感じになったのかをここで掴んでおかないと今後ずっと見誤ることになると思っていくらか考えてみました。

ひとつめは、これがたぶんファンダメンタルズを見て投資をするということなのではないかというものです。上に書いた起死回生計画の勝算はすべて売上などの数値で表現される。それがコンセンサスを下回った。すなわち起死回生計画も予想よりはうまく行っていない。であるならば現在の株価$13は割高であり売るべきである、というような判断なのかもしれない。テクニカル分析が「株価チャートはすべての取引の記録と歴史であり、チャートにはすべての情報が詰まっている」というような思想でチャートと心中するくらいの気持ちであるように、ファンダメンタルズ分析もまた「企業の業績はすべて決算報告の中で数値化されており、そこに企業のすべてが詰まっている」といったIRと心中しようとするような思想なのではないか、といういかにも一神教って感じの世界観が根底にあるのではないかという仮説です。まあそれだけだと-24%という下落幅を説明しきれないのでそういう話ではないかもしれません。

ふたつめは、AMDの動向にセンシティブな参加者が多く、ちょっとした悪材料にも過敏に反応したのではないかというところです。出来高の多さもそれをやや裏付けているように思います。また、-24%といっても今年の初値が$11.43なのでそこから見れば-10%程度です。年末年始あたりに慌ててAMD株を買ったものの決算を見てやっぱりダメだと見切りをつけて売った、または$10以下で買った人がボラティリティの高さに嫌気が差してもう利益確定してしまおうと売ったみたいなことです。

※YTDのチャート

とりあえず僕としては年末にラインナップが出揃うまではわからないと思っているし、成功か失敗かでいえば成功すると思っています。$11くらいにまでは下がるかも、というのはこの起死回生計画に綻びが生じればありうるかもしれないという意味だったけど、さすがにQ1の決算が出たタイミングでそう判断するのは早計すぎるし、失敗と判断するに足る情報とも思えない。というわけで想定していた株価よりも値が下がったわけで、つまりお買い得なので$10.20くらいで買い増しました。