ゆらめく資産の記録

銘柄評価ノート

※2017年10年21日更新

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これは評価と称するただの感想文、印象の記述です。スキルがなくてちゃんとした業務分析などが不可能というのもありますが、そういうのは詳しい人がいくらでも居るし、僕がやらなくてもいいでしょう。

保有中・保有予定

日本株 (いずれ書く)

米国株(米国市場で買う株。米国籍とは限らない)

AMZN(Amazon)

ECとクラウド(IaaS、AWS)が安定的に利益を出してる。AWSはIaaSのパイオニアで、だいたいテクノロジー業界のパイオニアは後発にやられるものだけど、AWSはサービスそのものの良さはもちろん、新サービスや機能のリリース頻度の高さや頻繁な値下げなどによってトップを維持し続けていてすごい。スマートフォン(こけた)、スマートスピーカー(好調な出だし)、Kindle事業(順調ぽい)など新しい事業も結構な頻度で初めていて、物流への投資も継続的に行っている。

直近(2017年半ば〜後半)では特にホールフーズ買収あたりからAmazonエフェクトと呼ばれる「Amazonが事業分野に参入してくるリスク」といったものが取り沙汰され、業界から警戒されている。なんとなくこれが株価の上値を重くする要因じゃないかなーと思うが、まあ中長期的にはAmazonは成長し続けるだろう。

理由としては、R&Dの費用がいまや世界最高額になったけど昔からいろんな投資をずっと続けている。投資といっても土地を買うとかしみったれたものではなく、Amazonが「世界を食い尽くしている」理由を考える | TechCrunch Japanで書かれているような投資だ。少し長いけど引用する。

AWSのデビュー後、10年以上にわたってAmazonは社内向けに開発したツールを洗練させて外部向けのプロダクトとして事業化するという手法をきわめて意識的に繰り返している。最新の例はAWSのAmazon Connectだ。これはもともと自社の通販事業の連絡先管理のために開発されたツールだがAmazonはこれをクラウドベースのセルフサービスのプロダクトとして外部に公開した。この事業の売上も巨額に上っているが、本質はそこではない。本当の価値は、プラットフォームとして公開することにより、部内ツールが肥大化、非効率化することを防げるという点にある。

(中略)プラットフォーム化して外部に公開すれば、その事業が成功していれば利益を生むし、問題があれば直ちにその結果が出る。おおまかにいえば事業が生む利益は事業の質に比例する。数々の事業においてその質を判定する効果的な方法をAmazonは得た。

AWSは非常に目立ち、したがってわかりやすい例だが、この戦略(実行にはヘラクレスの功業的な努力が必要になる)はAmazonのあらゆる事業、部門において一貫して採用されている。Amazonでは膨大な数のサービスが外部から利用可能になっている。エコシステム全体のプラットフォーム化こそライバルがコピーすることがほぼ不可能なAmazonの優位性だ。

自分たちのためのシステムを外部に晒して事業化する、その成否で質を判定し、問題があれば修正するなり破棄するなりする。それを繰り返す。これ以上にすさまじいPDCAサイクルはちょっと思いつかない。

MA(Mastercard)

V(VISA)とならぶ決済の雄。VじゃなくMAを買ったのは単にタイミングというか、株価推移を見たときにVよりMAのほうが伸びてなかったのでこちらのほうが今後の伸びしろがありそうだと思っただけ。

Alipayなど中国勢の決済はプライバシーに敏感なEUでは受け入れられないだろうし、米国や日本でもたぶん厳しい。クレジットカードは手軽な決済手段として確立されているので、業界ごとなくなる(ないし衰退する)とは今のところ思えない。その根っこを握っているというのは確実に強みだろう。

ぐらいの知識しかない。

RDS-B(ロイヤルダッチシェル)

石油業界の雄。イギリス・オランダに拠点があってBはイギリス株。よって現地配当課税が掛からない。そして高配当(配当利回り6%超)であり、ドルベースでの安定配当・増配を謳っており、実際に石油価格の下落が長期化してもまだ減配していない。

何も考えずに配当のために買い増す銘柄として目をつけたものの、現在(2017年10月)はやや株価が上がってきてしまっており、純然たる配当目当てで買うにはやや不利な情勢となってしまった。まあそれでも1株$63程度で取引されており、配当が四半期ごとに1株あたり$0.94なので悪くはない。

石油については素人なので今後の情勢だとかビジネスの詳しい部分などについてはまったくわからないし、電気自動車の充電ステーション事業を買い取ったりしたことがビジネスにどう影響するのかとかさっぱりわからないけども、そういう分析はプロに任せて決算と配当だけで判断していくつもり。

MMM(3M)

58年連続増配でダウ平均採用銘柄でグローバルな化学・素材メーカー。Googleニュースで「3M」を検索するとたいてい新製品が発表されている。つよい。いち消費者としてはスコッチブライトとかポストイットとかが有名だし、たぶん何かしらの製品が身近にある

RDSと同じく化学分野については素人なので詳しいことはわからないけど、この会社がひっくり返されたり手のひらを返すことはそうそうないだろうと思うので大きな信頼を置いている。保有株のうちひとつだけ買い増せるとしたらどれを選ぶか、ということなら(直近の株価騰落などを無視すれば)MMMを選ぶ。

BLK(ブラックロック)

iShareシリーズでVanguardのETFと覇を競う。ETFがこれだけ大きくなった昨今において、その2強のうちの一角を占めているというだけでつよい。いちおうETF以外の事業もあって、2017 Q3決算でのiShares事業からの収入は全体の5割強となっている。

まあETFの信託報酬で稼いでいるので、投資家がETFのポジションを縮小すればブラックロックの収入もそのまま縮小されることになるわけで、弱気相場では株式市場上でのダメージ(株価下落)にとどまらず実際の収入面でもダメージをもろに食らうんだろう。とはいえETFが壊滅するようなことはないだろうし、リーマンブラザーズのような金融会社と違ってレバレッジ掛けたり全力トレードするという事業でもないので、まあまあ底堅いんじゃないかと思っている。

PEP(ペプシコ)

ペプシコーラでおなじみ。7UPなど他の飲料も手がけるし、スナック菓子の販売もやってる。KO(コカコーラ)は飲料のみなのでそこが違う。

手持ちの株に生活必需品セクターがなかったので、その中でもなんとなく安定してそうだなあ、くらいのふんわりした感じで買った。プライベートブランドが盛り上がっていて低価格品で代替するのが流行りだけど、なんとなくお菓子や清涼飲料水のたぐいはブランド志向が維持されるんじゃないかなあ、とこれまたふんわり思っている。

全体的にふんわり買ったので強いこだわりなどはない。保有銘柄の中で別の銘柄に置き換わる可能性がもっとも高い。

MO(Altria)

フィリップモリスの米国オンリー版。マルボロブランドが有名。2017年7月末にFDAがニコチン商品について言及したときに急落し、まだそのときの水準でうろうろしている。

事業そのものは非常に安定しており、配当性向に無理のない連続増配銘柄でもある。タバコ事業はFDAが依存性を警告するくらいリピーター率の高い事業であり営業利益率も高い。全米的なマリファナ解禁の流れによる何らかの事業機会もありうる。リスクらしいリスクは政治リスクくらいだろう。

個人的には数あるリスクの中でも政治リスクがトップクラスに嫌いで、なるべく政治リスクの少ない銘柄を持ちたいと思っているので、MOに大きく資金を投じるのには抵抗がある。売ろうにもFDA事件で下がったままなので、現状を一言でいうと塩漬け状態といえる。まあ配当をもらってのんびり機会をうかがおうと思っている。

ADBE(アドビ)

主に画像・動画・印刷など視覚系のソフトウェアを扱う創業以来のビジネスと、最近はじめたマーケティング用のウェブサービスを商う。サブスクリプションモデルへの移行に成功し、PhotoshopやIllustratorが事実上必須となるクリエイターから収益を上げている。

個人的な印象は「頭のいい人たちが頭のいい人向けに高品質なアプリケーション/サービスを提供している」という感じ。簡単なレタッチくらいならそういうソフトウェアを使えばいい。Adobe製品は優秀な人たちにとっての最高の道具だ、というようなメッセージを発しているような印象を受ける。トレーニングサポートも手厚く、専門学校に食い込んでいたりしてこの分野ではAdobeに代わるものがない。

デジタルマーケティング事業についてもGartnerの調査で何度もLeaderを獲得するなど実績は充分積んできている。

そういうわけで、固い収入源である祖業ソフトウェアポートフォリオwithサブスクリプションモデルと、いい具合に好評を博している新事業のデジタルマーケティング事業の将来性、およびAdobe Sensei(AI)を組み込んで他のソフトウェアの可能性を広げるなどなど、全体的に勢いが感じられる。これぞ無配のグロース株といった感じで今後に期待している。

MSFT(マイクロソフト)

WindowsとOffice事業、ゲーム事業(XBOX)、クラウド事業(Azure)、あとHoloLensやKinectなどの未来っぽいデバイスの研究開発もしている。最近だと(本気か冗談かよくわからないけどイグノーベル賞候補なのは間違いない)日銀総裁の表情解析もした。スティーブ・バルマーがCEOを引退してサティア・ナデラが引き継いでからは、Windowsや自社開発に固執せずわりと多方面で仲良くやっていると思う。

WindowsとOfficeこそその分野でのシェアは首位といえるだろうけど、クラウド事業はAWSに次ぐ2位であり、ゲーム事業もソニーのPS4と競っていて、多方面で1位取りまくりといった感じではない。が、別に赤字じゃない(と思う)し、Windows以外の事業を育てていこうという目論見は成功失敗の二択でいえば今のところ成功に分類されるだろう。

マイクロソフトとしても次に重点を置くべきプロジェクトを模索してるような気がするので、それがはっきりするまでははっきりしない立ち位置が続くと思う。まあその何かはそのうちはっきりするだろうという楽観的な期待がなぜかあるので、株を保有しておいて実りを待とうという心境です。

買わない

GOOG, GOOGL(Google)

技術的にはすごいと思うんだけど、いかんせん顧客とのコミュ力がなさすぎると感じている。「コミュ力」という表現が雑なら「市場や顧客との対話が下手で需要と供給がすれ違いがち」とでも表現できようか。技術的にはともかく事業的にぱっとしないのはほぼ全てこのせいだと思っている。

圧倒的な資本力と技術力で先行を後追いして二番煎じで世界を制覇するみたいなのが多く(例えばAndroidはiPhoneを後追いして成功した)、どうもGoogle自身が何をしたいのかよくわからない。「俺たちならあいつらよりうまくやれるぜ」というような動機で色々やってるように見えるし、それはそのとおりなのかもしれないけど、Google+はFacebookの足元にも及ばず、GCPはAWSどころかAzureにも追いつけそうになく、どうも事業というものが下手な印象を拭えない。なかなかすごい技術をすごい事業にできない。

YouTubeが成功してるのはGoogleが得意とする「圧倒的な資本と技術でぶん殴る」が動画サービスではうまくハマるからだろうし、Androidもそれに似た気配を感じる。そういう事業が今後出てきそうなら株を買うんだけど、今のところ思い当たるふしがないので買う理由がない。

AAPL(Apple)

iPhone登場から2017年で10周年らしい。この10年ほど、ほぼiPhoneに食わせてもらっていたことになる。単純にすごい。

とはいえその次がなかなか見えない。Appleにはよくあることといえばそれまでだけど、ジョブズが居ないなかでこういう状況を打開できるんだろうか。ティム・クックは我が道を行くというよりは調整型の人に見えるし、であるからこそジョブズの遺産をほぼ完璧に近い形で運用していけるとは思うけど、その行き着く先はさほど明るいものではない。「退屈な大企業」というイメージはAppleが破壊しようとしていたものそのものだと思う。こういうアイデンティティ・クライシスはブランド価値に直結する。

判断に迷う

FB(Facebook)

ターゲティング広告がすごくつよい。InstagramやWhatsAppの買収も目ざといものだったし、とにかくオンライン上でのコミュニケーションプラットフォームをすべて抑えるという目的がもしあるのなら完璧に遂行できている。大規模ウェブサービスを安定運用および拡張していける技術力も十二分に備えていて、キャッシュフローも良好で、人々はなんだかんだいいながらFacebookを使っている。フェイクニュースやヘイトスピーチなどの課題はあるけれど、個人的には(Facebookにとっての危険性は低いという意味で)楽観視している。

じゃあなんで判断に迷うのかというと、Facebookが何をしたいのかよくわからないからだ。オンラインのアクティビティを抑えてそこに広告を入れる広告業をやりたいのかというと、たぶんそれは現状そうなっているだけだという感じがする。じゃあ何をしたいのか。ザッカーバーグ自身は社会的な活動を積極的にやってるけど、FBをどうしたいのかがわからない。なんか大学生のときに作った出会い系サイトが大当たりして大金持ちになってしまった、それはたぶんザッカーバーグは人付き合いがうまいとかなんかそういうのがあっていろんな人が集まって協力してくれてFBがちゃんと大きくなった、というだけで、FBという会社にも事業にも特に思い入れがないんだと思う。

FBは器としてこの上なく魅力的だけど、その中身が不明なので手が出せないという感じになっている。